しずかからしばらくメールが来ないし、電話も掛かってこない。
 どうしたんだろう?
 僕はすごく不安になったのでシズカの住むマンションへ急いだ。

 エレベーターが動き出した。
 分速60メートルらしいが、何故か遅く感じる。
 やっと19階のしずかが住むフロアに止まった。
 手にはコンビニの袋をぶら下げて彼女の住む部屋へと急ぐ。
 袋にはレトルトのおかゆとパンプキンスープ、それにゼリーとドリンク類が入っている。
 もし寝込んでいれば、おそらくほとんど何も口にしてないだろうから。

 しずかの部屋に着き早速インターホンチャイムを押した。
 そこに現われたのはすっぴんのしずかであった。
 顔が少し蒼白く、心なしか痩せたように思える。
 事情を聞くと、風邪をこじらせて寝ていたという。
 僕はとりあえず部屋に入ることにした。

 しずかはポツリと言った。

「Shy、抱いて……」

 僕は目を丸くした。
 風邪で寝込んでいるのによくそんな気になれるなあ、と思った。

「今、妙なことをしたらもっと拗らせてしまうから今はダメだよ」
「うん、でも今すごくしたい気分で……」
「そりゃ長いことしていないから僕だってしたいけど、今はよそうよ。ゆっくりとお休み、しずか」
「うん、分かった。じゃあ、横で寝てて。しばらくでいいから」
「うん、いいよ」

 僕はしずかの左側にそっと入り布団を掛け直した。
 しずかはこちらを向いている。
 いつものようにごく自然にしずかの肩を抱き寄せてキスをした。
 軽くキスをしたつもりだったが、しずかの唇の吸引力はすごかった。
 それに舌まで押し込んできた。
 僕はキスをしてたらついその気になってしまって、柔らかな胸のふくらみに手を忍ばせた。
 ディープキスをしながら胸を揉まれた女がどうなってしまうか……結果は火を見るより明らかだった。
 果せるかなしずかは悶え始めた。
 まずい。僕のエンジンもかかってしまった。
 僕は冷静さを取り戻そうとした。

「今はやめとこうよ。風邪が酷くなるよ」

 しかししずかの一度上がったボルテージは簡単には下がらない。
 僕の左手を自分のショーツの中に誘導した。
 谷間はすでにたっぷりと潤っている。
 僕の指は谷間を数回往復し、さらに谷間の上端にある木の実に触れた。
 中指が躍動する。
 小刻みな振動を木の実に伝える。
 しずかは瞳を閉じていたが「あっ…あっ…」と言う断続的な声を漏らした。
 僕の指はまだ止まらない。
 小刻みな振動を繰り返すだけ。

 しずかは年賀状を書いていたようで、テーブルに書きかけの年賀状と筆とすずりがそのままになっていた。
 おそらく書いている途中に熱が出て、寝込んでしまったのだろう。

 その時、僕はあるよこしまな発想が閃いた。
 すぐにすずり箱に入っていた白い毛の太筆を手に取った。
 そしてしずかの谷間や木の実を筆で擦った。
 羽根がかするようにそっと優しく撫でた。
 するとまもなく、しずかの身体がピクピクと痙攣し始めた。
 声は次第に大きくなっていった。

「ああっ…だめぇ……そこ、だめだよぉ~…いやぁ~…あぁん、あぁん~あぁぁぁ~気持ちいいよぉ~…ああっ、いやっ!あああっ!」

 しずかはいやらしく身体をくねらせる。
 強い刺激がしずかを襲い、その都度身体をくねらせて声をあげた。
 筆は容赦なくしずかの最も敏感な箇所を攻め続ける。

 その後、二人がひとつになるまで多くの時間を要しなかった。

「ごめんね、しずか。風邪をこじらせたら僕の責任だよ」
「逆だよ。Shyが全部邪気を吸取ってくれたみたいで何だか気分がよくなって来たよ」
「そういえば僕は邪気を吸ったのでつらくなってきた……」
「えっ!?もしかして移ったのかしら」
「嘘だよ~」
「もう!驚かさないでよ~」
「ところで、しずか、本当に病気だったの?」
「うふ……」

 その時窓辺の仕舞い忘れた風鈴が、暖房の風を受けて「チリリン…」と季節外れな音を奏でた。



















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