第25話  “ルームサービス”

「ピンポーン」
 チャイムの音が部屋に響きわたった。

「むにゃむにゃ……こんな朝早くから誰が来たのかな……?☆★☆」
「誰だろうね……ん……?んん……?……あっ、もう七時だ!朝食のルームサービスを頼んでいたのを忘れてた!」
「早く起きなきゃ!☆★☆」

 ありさはブランケットで胸を覆いながら眠そうに眼をこすっている。
 シャイは急いでバスローブを肩にかけ受話器を取った。
 ホテルのキャストが朝食の準備をしてドアの外で待っている。

「ありさちゃん、着替え間に合わないからそのままベッドに入ってて」
「うん、そうする☆★☆」

 シャイがドアを開けると女性のキャストが笑顔で朝の挨拶をしワゴンを中に運び入れた。
 ミラホスタのスタッフは接客態度がよく好感が持てる。
 ベッドのありさはブランケットを深めに被って眠っている。いや、正確にいうと寝たふりをしている。
 キャストはありさの存在を意識することもなく黙々と朝食の準備に取り掛かっている。
 手際よく準備を終えたキャストは一礼して部屋を出て行った。

「ありさちゃん、朝食の準備ができたよ」
「は~い♪☆★☆」

 よい返事を返しすぐにベッドから跳び起きたありさであったが、まだ何も身に着けていない。

「あっ!まだ下着を着けてなかった!☆★☆」
「朝っぱらから僕を元気にさせてどうするつもり?」
「え~?ほんの一瞬なのにシャイさんもう元気になったの?☆★☆」
「男はチラリズムに弱いもんだよ~」
「あはは、勉強になるぅ☆★☆」

 ありさはシャイから少し離れた場所でブラジャーとショーツを着けその上にバスローブを羽織った。

「そんなこと勉強しなくてもいいんだよ。さあ食べようか。ありさちゃんはこっちのカフェラテの方だからね」
「は~い、わぁ~すごく美味しそう~♪スクランブルエッグだ~い好き~。このパンかわいいね、ミッキーの形してるぅ~☆★☆」 
「僕はグリーンサラダから食べようかな?」
「ディズニーシーの園内を見ながら食べるって贅沢な気分だねぇ。シャイさん、ありがとう~♪☆★☆」
「ありがとうっていうけど、ホテルをとってくれたのはありさちゃんじゃん」
「うん、でもこうしてシャイさんとディズニーに来れたことがすごく嬉しいの☆★☆」
「僕も嬉しいよ~」
「あっ、そうだ。想い出した!☆★☆」
「なにを想い出したの?」
「シャイさんのホームページに載せてたエッセイで『床のパンティ ボーイに見られ』ってあるじゃないの。前カノと海辺のホテルに泊まって今日のようにルームサービスをとった時のお話☆★☆」
「うん、かなり前の話だけどね」
「片付けたつもりがうっかり前カノのパンツが床に落ちてたって場面、ありさ大笑いしちゃったぁ~。今想い出しても笑えて来るよ~☆★☆」
「うん、でも当事はすごく焦ったんだよ。恥ずかしくて顔から火が噴き出しそうだったよ」
「だよねぇ。ん?だいじょうぶかな?☆★☆」

 自分は落としていないかと心配になって床をきょろきょろ見回すありさ。

「だいじょうぶだよ。一度そんなことがあったから今日はちゃんとチェックしておいたから」
「よかったぁ~☆★☆」

 ありさは安堵の表情を浮かべオレンジジュースをごごくごくと飲んだ。

「シャイさん?☆★☆」
「なに?」
「昨日一日でありさ何回イッたと思う?☆★☆」
「ひゅ~、急にディープな話に変わったね。数えてないから回数は分からないけど十回は確実にイッたんじゃないかな?」
「ありがとうシャイさん、気持ちよくしてくれて……最高の快感をくれて……☆★☆」
「僕だってありさちゃんが良すぎるから何度もイッたもの」
「そんなぁ……照れるなぁ……☆★☆」
「今日は昨日とは違ってちょっとアブノーマルなことするけど、ありさちゃんだいじょうぶ?」
「うん、全然知らない世界だけど、ありさがんばってみるぅ☆★☆」
「うん、でもきつかったらいつでも途中でやめるから言ってね」
「シャイさん優しいね。そんなんじゃ本当の『S』にはなれないぞ!☆★☆」
「ははははは~、僕は真のサディストじゃないよ。でもエッチのバリエーションはできるだけ広げたいと思ってる。特にありさちゃんが気持ちいいと思うことなら何でもしてあげる」
「うううっ……ありさ、嬉しくて涙がこぼれそう……☆★☆」

◇◇◇

 朝食が済み化粧も終えたありさに、ついに例のポケット付きGストリングスショーツを穿く時がやってきた。
 シャイがポケット部分にピンクローターをそっと挿し込み、ショーツをありさに手渡した。
 
「洗面所で着替えてくるから待っててね☆★☆」
「ダメダメ、ローターの位置確認しないといけないからここで穿いて」
「シャイさんの目の前でパンツ穿くのは恥ずかしいよぉ☆★☆」
「ダ~メ。ここで」
「クシュン……分かった……でもあんまり見ないでね☆★☆」

 先に穿いていたショーツを脱ぎ捨て、真っ赤なストリングショーツをゆっくりと着用するありさ。
 シャイに背を向けて着替えているため前面は見えないが、ふくよかな双臀は丸見えである。
 ときおり双臀のはざまから見えるスリットは実に官能的であり刺激的だ。
 ショーツの後ろがTバックよりも細いGストリング仕様なのでひときわエロティックと言える。

(ノーマルショーツも清楚で可愛いけど、大胆な下着も結構似合う子だなあ……)

 シャイは後方からありさを見つめながら思わず生唾を飲んでいた。
 昨夜あれだけ心ゆくまで愛したのに、またしても硬直し始めた自身を自嘲するような薄笑いを浮かべていた。


戻る/進む



















作品表紙

自作小説トップ

トップページ
inserted by FC2 system