第5話「ダンボールに囲まれた隠れ家」
誰であるかは声で分かった。3年D組担任の岡田だ。
生徒たちから人気のある教師で、生徒はよく彼の元へ相談に訪れる。
予想よりも早くバレてしまったが、まだ岡田でよかったと車村は思った。
ありさは静かに制服の乱れを直している。
(もはやここまでか……)と車村は無念に思ったが、人生の幸不幸は予測できないものだ。
二人に意外なことが起きた。
ぶつくさ文句を言いながら出ていく生徒の気配があって、ありさが制服の乱れを直し終えた頃、
「これで全員か? もう残ってないな?」
と岡田の声がして、沈黙のままありさと車村が見つめ合っていると、まもなく消灯され、ガラガラっとドアが閉じる音がした。
しばらくすると、カッター台でセロテープを切る音がして、ドアに何やら貼り紙をしている様子で、ガタガタと引き戸が揺れた。
どうやらこの教室を『文化祭開催中は出入り禁止』の措置にしたようだ。
ふたたび暗闇の中で、ふたりはしばらく石のように固まっていたが、ようやく車村が蚊の鳴くような声でささやいた。
「どうしよう……?」
「まずいよね、たぶん……」
「ん~……」
車村が唸っていると、ありさはスマートフォンを出して覗き込んだ。
「あれから1時間……」
「1時間? たったの……? もっと経ったような気がするけどな……」
ここに入って1時間くらいだとありさがいう。
(逆に言えば……まだ1時間か。まだ時間があるな……)
二人はスマホのフラッシュライトを懐中電灯にして、コースとその裏側を巡回し、教室内に誰もいないことを確かめた。
できれば教室の電気を点けたかったが、点けると暗幕の目貼りが甘いせいで光が外に漏れるかもしれない。
立入禁止の部屋で点灯しているのを誰かに見られたら、その時点で二人は発見されてしまい大騒ぎになるだろう。
二人はさきほどの狭いスペースに戻り、ダンボールの壁ごと机を引き出し場所を広げた。
窮屈だったスペースが少しは広くなった気がする。
ありさが楽しげにささやく。
「なにか秘密の隠れ家みたいだね」
「うん、ワクワクしてきたな」
何しろ、ここは一番端の教室で、しかもこのスペースはドアから最も遠い場所なので、なんとなく安心だ。
二人が共同でダンボールを敷き詰めると、タタミ一帖分ほどのスペースができた。
そこにありさが仰向けに寝転ぶ。
そして、フラッシュライトがありさの身体を舐めるように照らした。
車村の感情がどんどんと昂っていく。
会話は小さい。
教室の外に漏らしてはいけない。
「ありさちゃん、頼みがあるんだけど……」
寝たままブラウスのボタンを上から五つ外してはだけさせ、膝を立てて少しだけ開いて欲しいと、希望を伝える車村。
ありさがボタンを外している様子を、フラッシュライトが追いかける。
はだけたブラウスからブラジャーが覗く。
スカートがめくれ上がり、ブラジャーと同じ色のショーツが車村の目に飛び込む。
ショーツの股間、そして生脚に、車村はおもわず生唾をのみこむ。
光を顔に当てると、上気した表情のありさの潤んだ瞳。
さきほどの騒動で萎えていた車村の股間が、ふたたび熱くなる。
車村は急いで竿コンニャクから紐とコンニャクを外し、竿をダンボール壁の間に橋のように渡した。
そして竿の中央に紐で結び、そこにスマホを吊るす。これが二人を照らす灯りだ。
車村はもう一度ありさを眺め感嘆のため息を漏らすと、ありさの隣に横になった。
「なんでため息?」
ありさがたずねる。
「感動してるんだよ。やれやれ、って思ってるんじゃないからね」
「こんなガキか……って思われてるんじゃないんだ? 良かった~」
「思わないよ、そんなこと」
ありさの右側に位置した車村は、ささやきながら左腕をありさの頭の下に入れる。
「腕枕だ~。嬉しい」
ありさがつぶやく。
「腕枕好き?」
たずねながら、ありさの左肩を引き寄せて右手を背中へ……
ブラジャーのホックを丁寧に外す。
「無駄のない動き~」
ありさがからかう。
車村はその仕草が無性にかわいいと思った。
センターに白いリボンが付いたブラジャーを上にずらすと、カップからありさの乳房があらわになる。
大きくもはないけど小さくもない。ちょうど車村のてのひらに収まるぐらいの大きさだ。
ライトに手を伸ばして揺らす。
振り子の照明がありさの愛らしい裸身を照らしている。
二人の呼吸音だけが聞こえてくる。
改めて……のキスをする。
舌を絡め合い、吸い合いながら右手はありさの乳房を揉み、乳首を摘んで刺激する。
たちまち硬さを取り戻す乳首がいとおしい。
キスを続けながら、乳房から脇腹、おなか、腰へと手を滑らせ、また乳房へと戻る。
ありさは車村に舌を吸わせながら、甘い息を吐く。
唇を乳房に移動し、吸う。
てのひらは太腿を撫で、ゆっくりと脚の合わせ目に。
乳首を舌で転がし、軽く噛み、吸いながら、車村の指がショーツの上から秘所に達すると、ありさの身体がビクンと反応した。
ゆっくりとクロッチの中心をこする。