第7話「一人遊戯」 実のところ若い男はいまだかつて一度も女性と性経験が無かった。 初めて目にする女の果実のような尻と美しく縦に割れた肉裂に魅了されたが、どうすればよいのか分からない。 間近で覗いてはため息をついている。 見つめているうちに気持ちが昂り勃起してきたようでズボンが大きく盛り上がっている。 若い男はズボンの上から股間をスリスリと摩擦し始めた。 ズボンの中がギンギンに硬くなっているのが分かる。 若い男は思った。 (女性はどんな顔をしてるのだろうなあ?そしてどんな声を出すのだろう?) 硬くなった肉棒がズボンの締め付けで痛くなってきた。 若い男はついにズボンと下着を脱ぎ、肉棒を露出させた。 まだ女性を知らない清廉な肉棒はドクドクと脈打っている。 後方の窓に執行官の監視の目があることなど露ほども知らない。 「おっ、ズボンを脱いだぞ!ついにおっぱじめるか?」 「だけどやけにおどおどしてないか?もしかして童貞だったりして」 「童貞かどうかは分からんが、まだ経験が浅いのは確かだな」 執行官は暇に飽かして歓談に興じている。 若い男はセックス以上にフェラチオに興味を持っていた。 美しい女にフェラチオをされることを夢に描いていた。 受動的な性行為ではあるが、彼にとってそんなことはどうでもよかった。 若い男はふと立看板に目をやった。 立て看板に罪名や罪状の記載はあるが、罪人の名前の記載されていない。 (何という名前だろう……?お尻がきれいからきっと美人だろうなあ。どんな唇してるのかなあ……) イヴの素顔を窺い知ることのできないが、若い男の脳裏に限りなく妄想が広がった。 (ああ、その可愛い唇で僕のモノをしゃぶって欲しい……) 若い男は突然肉棒を擦り始めた。 「な、何と、信じられん!目の前に美味そうなオマンコがあると言うのに、どうして自慰をするんだ?」 「もしかしたらセックスの仕方を知らないんじゃないか?」 「そんなこと無いだろう。男は初めてでも本能的にセックスできるようになっている生き物だ」 「いやいや、本能的に分かる奴と、なかなか分からない鈍い奴もいると思うぞ」 「どちらにしてもご馳走が目の前にあるのに食わずに自慰するとはもったいない奴だな」 「まあ、人の好みは色々あるからなあ」 「俺が執行官じゃなかったら、すぐにモグモグと食っちゃうけどな」 「でも屋外の回廊でやれるってかなりの強心臓だぞ。おれは無理だ」 「うわ~、擦ってやがる~」 「男が自慰する場面なんぞ見たくもないよ」 若い男はイヴの美しい双臀をおかずにして、懸命に自身のモノをしごいている。 フェラチオをしてくれる彼女を想像して、若い男は摩擦のスピードを上げる。 妄想の中で、「気持ち良くなってきた?口の中に出して……」と上目遣いで言う彼女に若い男は激しく興奮した。 「うぁっ!で、出そうぅ……!」 硬くなった先端がイヴの尻に狙いを付けた瞬間、若い男の眉間に深い皺が刻まれた。 (ドピュ~ッ! ) 「っ!ん、んうぅっ!」 一本の線となって勢いよく弾け飛ぶ白濁の液体。 美尻を見て興奮した若い男の一搾りが、快感と引き換えに虚しく放たれる。 ◇◇◇ 「きゃっ!何かべっとりしたものがお尻に降りかかった!」 うとうとしていたイヴであったが突然の異変に思わず目を醒ました。 臀部に降りかかった白濁の液体はタラリと太腿へと伝っていく。 液体の正体が分からないためイヴは不安と恐怖に襲われた。 ◇◇◇ 若い男は目元を真っ赤に染めてハアハアと息を荒げていたが、やがて呼吸を整えると壁尻に一瞥をくれて、ゆっくりとその場を立ち去った。 まもなく待機していた清掃担当によって汚された臀部がきれいに拭き取られた。 その後、特に壁尻に挑んでくる男は現れなかったが、回廊でとある事件が発生した。 顎髭の男が仕事帰りの女性を脅し指輪を奪い取ったが、女性の叫び声で駆け付けた夜回りの兵士が後を追いかけた。 「待て~~~!」 兵士は男を追いかけるが、逃げ足が速くなかなか追いつけない。 男は回廊に駆け込み、刑執行中の壁尻までやってきた。 男は壁尻を一気に駆け抜けていくかに思われたが、何を思ったのかピタッと立ち止まった。 「ん?魔女だと?桃晒しの刑だと?これは面白い」 男は壁尻に近づくと、追いかけられている最中にも関わらず不敵な笑みを浮かべた。 「ふふふふふ、いい隠し場所を見つけたぞ」 男は肉裂を広げそっと膣の中に指輪を挿し込んだ。 ◇◇◇ イヴは秘所に違和感を覚えた。 「やだ……何か冷やりとしたわ。誰なの?何を入れたの!?」 ◇◇◇ 「見つけたぞ!そこにいたか!もう諦めろ、逃げられないぞ!」 「うわっ!逃げろ!」 「待てっ!」 「捕まってたまるか!」 「ははははは!もう観念しろ、前を見ろ!」 前方にはもう一人の兵士が回り込んでいた。 「げっ!こりゃまずいぞ!」 前後から挟み撃ちをされた髭の男は呆気なく捉えられてしまった。 「さあ、盗んだ指輪を出すんだ」 「そんな物持ってないぜ」 「嘘をつけ、盗んだことは分かっているんだ」 「何なら裸になってやってもいいぞ」 「おう、なってもらおうか」 髭の男は自ら裸になったが盗んだ指輪は出てこない。 「おかしいなあ……」 「ふん、俺は盗んでないよ。人違いじゃねえのか」 前頁/次頁 |