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第4話 “老淫”

「力を抜くと痛みが和らぐよ。さあ力を抜いて」

 そんなことを言われても、力を抜くことなど簡単にはできない。
 衣葡は全身を震わせながら、強引に侵入してくる苦痛と闘っている。
 山口の怒張した肉棒が衣葡の可憐な菊門から出たり入ったりする光景は実に淫猥だ。
 そして衣葡が苦悶に顔を歪める度にピンク色の淫裂がヒクヒクと口を開く。

「おお、いい締りだ。これは堪らない!」
「ううぐっ!ううう~~~っ!!」

 腸内をかき回される異様な感覚、そして肛門を押し広げられる苦痛が衣葡に襲いかかる。
 汗みどろになった白い下腹部が激しく前後する。
 本来なら前方に逃れたいところだが、前方には内田のつっかえ棒が邪魔をしていて逃げられない。
 前後から挟まれた形となった衣葡の額からは大粒の汗が噴き出している。

 二人がかりによる地獄のような責苦も意外と早い終焉を迎えた。
 入院で禁欲生活を余儀なくされ精液もストレスも溜め込み、久しぶりの性交に堪え切れなくて、あえなく撃沈してしまったのだった。
 うなだれる衣葡の内股に白濁色の液体がツーッと伝い落ちる様は実に痛々しいものであった。

「ふう~、すごく良かったぜ、美人看護師さん。シマリ具合も抜群だし予想どおりの名器の持ち主だぜ。あとからまたゴチになるとして、実はあんたにもう一働きしてもらいたいんだよ」
「うぐぐ……」
「実は俺たち以外にあんたを欲しがっている人間がもう一人いてね。ふふふ……」
「……!?」

 もう一人とは一体誰のことだろう。
 衣葡は全く思い浮かばなかった。
 この病室にいるのは内田と山口そして自分だけではないか。もしかして他の部屋から患者を連れてくると言うのだろうか。
 いや、少し待てよ、この病室にはもう一人入院患者がいる。
 85歳で長期入院中の老人が。
 まさかそんな老人を狂気の性宴に駆り出すことはないだろう、と衣葡は自身の想像をすぐさま否定した。

 しかし次に発した内田の言葉が衣葡を凍りつかせた。

「実は、あそこに寝ている川島爺さん、あんたもよく知っているだろうが余命いくばくも無くてさ。その川島爺さんが夜ごと俺に言うには、『いつもわしにやさしくしてくれてるあの衣葡さんの一番大事な場所を一度だけでいいからしゃぶり倒してみたいんだよ。もし願いが叶ったらわしはいつ成仏したって構わない』ってな。あんたもえらく惚れられたもんだな~。そこでだ。ぜひあんたに一肌脱いでもらってあの爺さんの願いを叶えてやって欲しいんだ」

 衣葡の血相が変わった。
 いくら余命いくばくもない老人の今生の願いだとしても、そんなことは絶対に嫌だ。
 自分は男たちの玩具ではない。
 確かに先程野卑な男たちに弄ばれたが、もう誰にも肌に触れられたくはない。
 衣葡は首を横に振った。

「ふ~ん、そうかい、案外冷てぇんだな~。じゃあ仕方ねえな。頼みを断るんだったら、あんたのそのきれいな顔にこのカミソリでちょっぴり傷つけることになるけど、いいんだな?」

 とカミソリを振りかざし凄んでみせる内田に、衣葡は恐怖のあまり全身から血の気が引くのを感じた。
 内田の元暴力団員という素性からして、脅かしではなく本当にやりかねない。
 女性として顔を傷つけられるのは最も怖いこと。
 衣葡は首を縦に振らざるを得なかった。

「よしよし、それでいい。俺としても無理やりっていうのも寝覚めが悪いからな~。じゃあ早速爺さんのお相手をしてもらうとするか」

 内田はそうつぶやくと衣葡の両腕のロープを解き天井から降ろすと、山口とともに左右から抱きかかえ川島老人が寝ている入口右側のベッドへと連れて行った。

 衣葡の姿を目にした川島老人は嬉しそうに満面に笑みを浮かべている。

「爺さんよ、あんたの大好きな看護師さんを連れて来てやったぜ。ほら見てみな、下は素っ裸だぜ。いや、それだけじゃねえぜ。ここを見てみなよ、オケケをきれいに剃りあげてかわらけになってるだろう?爺さんがしゃぶりやすくしてやったから、心行くまでしゃぶるんだぜ~」

 櫓を担ぐように両横から男たちに抱えられ、仰向けの川島老人の上に膝立ちで跨ぐ姿勢にされてしまった衣葡は困惑した。
 何しろ眼下には川島老人の相好を崩した顔が窺え、目のやり場がないのだ。
 川島老人はまるで神々しい女神が降臨したかのように、目を爛々と輝かせて衣葡を見つめている。
 彼の視線に耐え切れなくなった衣葡は思わず顔を背けてしまった。

 ひるむ衣葡の背中を内田は小突き催促をする。

「おい、早く爺さんの口の上にまたがってしゃぶらせてやれよ」
「ううぐっ……!」

 背中を押された衣葡がやむなく前進すると、川島老人の顔が間近に迫る。

「ふんがふんが…こんにゃ若くてきれいにゃ看護婦しゃんと、ふんがぁ……こりゃ極楽じゃ……」

 日頃総入れ歯をしている老人が入れ歯を外すと滑舌が悪く何を言っているのかよく分からないが、喜びに満ち溢れていることだけは十分に理解できた。
 川島老人が痩せた腕を女体に伸ばす。
 点滴をつけたままの腕が痛々しく見える。
 川島老人の手が震えてる。
 衣葡の肌は近いようで遠い。


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