『後悔』

Shyrock作








則之はホテルの天井を見上げていた。
惠の柔らかな髪を撫でていた。
後悔していた。
ようやく惠を得たことは良しとしよう。
自分の気持ちを真っ直ぐにしか表現できなかったことが悔しかった。
もっと優しく包み込むような愛情を持って、惠と一つになりたかったのに……
ただ自分の欲望を満たすように抱いてしまったことを自ら恥じていた。
暗い中で惠の手を探りながら、そのことを惠に詫びた。

「どうして謝るの?すごく良かったわ」

惠の声が耳元に伝わってくる。
お世辞と思われるのを嫌がってか「本当に良かったよ」ともつけ加えてくれた。
それが余計に則之の心に残った。

「ありがとう」と則之は言ったものの、何かひどく無力感を感じていた。
たぶん惠は自分以外の男性に抱かれたことがある。
二十歳の女性なら別に珍しいことではない。
別に咎めることではない。


包容力があって、とても心の温かい女性……それが惠の最大の魅力だ。
でもそれは心だけではない。
今日、則之は悟った。
きっと則之の身体もそうだ。
派手な男性には派手に振る舞い、おとなしい男性にはしっとりと振る舞う。
イソギンチャクの形を自在に変える。
男の大きさと固さとリズムに合わせて。
温かく男を包み込んで、男の情を吸ってきた。
男を満足させるという目的のために。
惠の身体のどこかに大きな演技力が秘められている。
則之にはそんな余裕がない。
ただ身体の高ぶりを誇示して満たすしかない。
無力だった。
せめて惠が頂点に近づけるようなセックスをしてあげたい。
それが則之の率直な望みだ。

則之は、敢えて過去には触れず、惠に望みだけをほのめかした。

「則之さんは男性なんだから……」

惠は後の言葉を濁した。
真っ直ぐに攻めるしかできないのよ……そんな風に則之は解釈した。
則之は無力感を感じながら、再び硬さを回復するのを感じた。























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