第9話

 我慢も虚しくもえもえへの翻弄は絶え間なく続いた。
 車山の指技に始まった愛撫も、まもなくすると四方八方から指や舌が迫り、男たちの暴走はとどまるところを知らなかった。
 男4人の年齢を平均すれば39歳。自分の父親とそれほど変わらない男たちの老かいな前戯に、もえもえの若い肉体は不本意にもメロメロになりいつしか明らかな変化を見せていた。

 自分がインストラクターをしているプールで、まさかこのような卑猥な仕打ちを受けるとは……

 もえもえは今我が身に降り掛かっているこの災難がただただ夢であって欲しいと願った。

「あれ?先生、何か濡れちゃってるんですけど。かなり感度いいっすね~」
「本当だ!水とは違ってねっとりしてるものね、これは愛液だ!」
「いやぁ……そんな恥ずかしいこと言わないで……」
「へぇ~、先生って真面目そうに見えるけど意外とエロいんだね~」

 わざと聞こえよがしに囁き合う男たちに、もえもえは頬を紅く染めて彼らから目をそむけた。
 夢中になって『クリトリスなぶり』に興じる宮本と野崎に対して車山はぽそっとつぶやいた。

「お二人さん、お楽しみ中に悪いんだけど、広げる役目頼みますよ」
「おっと、そうだった。こりゃすまない」

 言葉遣いは丁重な車山だが、明らかに宮本や野崎を威圧する何かがある。
 宮本たちは彼の言葉に素直に従った。

 車山はにんまり笑ってもえもえの目前で左手の中指を天井に向かってかざした。
 その動作は無言ではあるが「今から指を挿し込むぞ」ともえもえに示唆していた。
 クリトリスや陰唇を這い回った指が、まもなくうら若き女性コーチの秘孔に食い込んでいくのだ。
 周囲の男たちは固唾を飲んで車山の行動を見守った。

「じゃあ入れるね」
「や、やめてぇ……お願い入れないで」

 もえもえの哀願も空しく、車山はゆっくりと秘孔に押し込んでいく。

(クニュッ)

「あぁっ……」

 男たちは無言で車山の指先を凝視している。

「かなり狭いなあ……それに中に生き物でもいるみたいに襞がいっぱいある。指がぐいぐいと締め付けられる感じ……どれ、もう少し奥へ……」

 車山の中指は第二関節まで食い込んで停止した。
 膣に指を挿入するとき男に最も求められるのは女性へのやさしさである。
 あの硬直した男根を受け入れるのだから、膣は指の2本や3本ぐらい平気で飲み込んでしまう、というような錯覚を持ってはいけないのだ。
 男根は亀頭の部分が柔らかく、それがショックアブソーバー(衝撃を吸収する装置)になっている。
 さらには、女性の愛液という潤滑液のおかげで、男根は容易に膣内に入るのだ。
 だから、AVでもない限り指1本挿入が最も安全で、それだけであっても女性は十分感じることのできる生き物なのだ。
 指を何本入れたところで、それが即、性感に結びつくというものではないことを車山は知っていた。
 そもそも指を多く挿入した方が女性がより感じるというのは、男の勝手な思い込みなのだ。
 
 車山は挿入した中指をゆっくりと動かし始めた。

「あぁ……いやっ……そこは……あぁぁぁぁ~……」

(クチュクチュクチュ、クチュクチュクチュ、クチュクチュクチュ)

 中指の第一関節の指の腹をやさしく擦りつけるようなイメージで左右に動かす車山。
 ざらざらとした特徴のある箇所が見つかった。
 車山はその箇所を集中的に擦りまくる。

「いやぁ~~~……そこはだめぇ……あぁん……!」
「先生、ここ感じるの?」
「あぁぁぁ~~~、いやぁぁぁ~~~……!」
「ふふふ、感じるんだね?」
「恥ずかしい……そんなこと言えない……」
「言葉にできないほど気持ちいいのか。じゃあ……それそれそれ!」

(スリスリスリ!スリスリスリ!)

「いやぁぁぁぁぁぁ~~~~~~~~~~~~~~~!!」

(スリスリスリ!スリスリスリ!)

「はぁ~だめぇ~、擦らないで~、あっ、あっ、あっ、ダメぇぇぇぇぇ~~~~~~~~~!!」

 車山の指が捉えた箇所は俗にGスポットと呼ばれており、膣入口から4センチほど奥に存在し表面的にはクリトリスの裏側辺りと言える。
 ひとたびGスポットを開発された女性は強く擦られると、感極まって随喜の涙を流す女性もおり、時にはクジラのように潮を吹く女性も存在する。
 もえもえの場合性経験はあるものの、男性からGスポットを攻められた経験はなく、今日生まれて初めて『Gスポット感覚』を体験するのであった。
 その場所が彼氏の部屋でもラブホテルでもなく、よりによって自身がインストラクターを務めるプール内とは何とも珍妙な話であった。

 体感したことのない奇妙な快感がもえもえの肉体を支配していく。

「しゃ、車山さん……はふぅ……はぁ~、そこは、ほんとに……だめです……狂っちゃいそうです……いやぁ、もうそれ以上擦らないで~~~!!」

 もえもえは強い快感に耐え切れず身体を弓のように逸らせたが、宮本たちに手足を押さえつけられていては逃れることも適わなかった。
 美しいサーモンピンクの亀裂からは止めどもなく蜜が溢れる。
 
「どれどれ、どんな味かな?」

 車山が指で蜜を掬おうと顔を近づけた瞬間、亀裂から勢いよく透明の液体が噴出した。

(シュワ~~~~~~~~~~~!!)

 液体は見事に車山の顔面に直撃した。

「うわ~~~~~っ!」

(シュワ~~~!ジュバジュバジュバ~~~!!)


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