Shyrock 作

恋愛小説『未来 4つ目の願い』



「はい、良魔、クリスマスプレゼント」
「未来、サンキュ~」
「誕生日のプレゼント込みだからね」
「げっ!12月に生まれて損した!」
「文句言わないの~。開けてみて?」

 緑色のリボンをとり、赤い樅の木の絵が入った包装紙を開ける。

「きれいに開けてね。後で包装紙もらうから」

 包装紙を開けると中から太めの毛糸で編んだセーターが出てきた。

「お~っ!」
「いつか欲しいって言ってたでしょう?」

 セーターを大きく広げてみる。
 ざっくりと編んだセーターで黒だ。
 さすがに未来は俺の好みを良く知っている。モノトーンが好きだと言うことを。

「襟のところを見て。良魔の言ったように“UCHAGI”ってメーカー名が入ってるのよ」
「本当に初めて編んだの?初めてにしては上手過ぎるような気が……」
「うふっ、実はね、母にちょっと手伝ってもらったの。うちの母、こういうの得意なのよ」
「う~ん、かなり上手いね~。あれ?ワンポイント模様が入ってるじゃないか」
「前、何日もかけてコーヒーカップ探したって言ってたでしょう?その探していたカップの図柄を入れたくて実は良魔のお母様に聞いたの」
「おふくろに?マジで?ふ~ん、なるほど。調査は完璧って訳だね」
「そう。良魔に気がつかれないようにしないといけないし、4カ月も苦労したんだから」
「本当にそうみたいだな。ほら、鼻が高くなってる」
「えっ?」

 未来がにっこりと笑う。
 少ししてから、少し清ました表情に変わった。

「うふ、私元々、鼻は高い方よ~」
「ぷふふ、そんな真剣に答えなくても~。ぷふふふ」
「何で笑うのよ~。もう良魔ったら~」
「すまん。ははははは」
「でもこれで、ドラマに出て来るようなストーリーをやってみたいっていう良魔の望みも叶ったわね」
「そうか。今日俺はいっぺんに4つの願いが叶ったわけだ」
「えっ。まだ、3つよ。誕生日プレゼント、クリスマスプレゼント、ドラマのストーリーみたいなシチュエーション……あと何よ?」
「憶えてるんだろう?俺が昔、俺の望みを3つ以上叶えてくれた人と結婚するっていった話。そして、今日の3つは俺の言ったいくつかの望みの中の3つだ」
「良魔……。いつも言うようだけど、気がつきすぎるのも時にはマイナスよ」
「ははは、そうだな。でも、冗談にわざわざ答えてくれたのは結婚してくれるってことだね」

 そして、未来が笑窪を作りキュッと微笑む。

「ええ。結婚してあげてもいいわ」

 




















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