第4話「デザイナーズホテル」
その中でも特に忘れられないのが彼と数日過ごした『D-HOTEL大阪』というデザイナーズホテルであった。
シティーホテルで検索しても出てこないし、ラブホテルでもない。
とても不思議な異空間であった。
立地が繁華街から少し外れで隠れ家的な雰囲気を醸し出している。
一流建築デザイナーの竹〇聖の設計によることでも有名で、しばしば建築雑誌等にも紹介されている。
外壁も室内も打ち放しコンクリートで設えられているため、クールで都会的でスタイリッシュな印象が強い。
室内が露出配管というのも実にユニークであり大胆な設計といえる。
また室内に「浴室」というような独立した個室はなく、浴槽と寝室がオープンになっている点が珍しく、わずかにカーテンが遮っているだけだ。
もえもえはこの風呂をとても気に入り、俊介が覗くデジタルカメラのシャッターにあらゆるポーズで微笑んだ。
二人だけの撮影会は大いに盛り上がった。
もえもえは度々衣替えをして俊介のモデルを演じてみせ、写真を自身のウェブページに載せて楽しんだ。
部屋の照明はすこし暗めだが、雰囲気作りには絶好のロケーションと言える。
ガーターを装着した純白のランジェリーで様々なポーズに応えた。
さらにはベッドでもきわどいポーズをとり、次々にメモリーカードに収めていった。
ベッドで淫らなポーズを見せつけられた俊介は我慢し切れなくなり、デジカメを置いてもえもえに覆い被さった。
「あ~ん、だめぇ~」
甘えながら拒絶の言葉を発するもえもえ。
ただしベッドにおける女性の『ダメ』『イヤ』『ヤメテ』じゃ『NO』ではない方がほとんど。
女性の『プライド』が『NO』と言わせてしまうのだ。
女性は時として心と異なる言葉を発する生き物なのである。
俊介は女性のそんな一面をとてもいとおしく思っている。
制御不能となった俊介は猛然ともえもえの唇を奪った。
クチョクチョクチョ……
舌が絡まる卑猥な音が部屋にひびく。
「んんぐ……だめぇ……俊介……」
「もえもえ……」
もえもえをベッドに押しつけ、唇につづき、左右の頬、おでこ、左右の瞼に唇が触れ、耳元まで顔を近づける。
「もえもえ、好きだよ」
甘い声でささやく俊介。
「……ぁんっ」
声とともに身体がぞくっとわななく。
俊介は耳元でもう一度ささやく。
「ここ、感じるの? 耳、弱いとは思ってたけど、こんなに反応がいいならこれからはもっと耳を攻めないと……」
「やだぁ……」
耳元でささやく甘い声と耳にかかる息に感じて、もえもえは顎をのけぞらせ懸命に漏れそうな声を我慢した。
「耳、かなり敏感だね」
そうささやくと、俊介は耳朶を舐め、甘噛みした。
なんとも言えない感覚に、目の奥がチカチカして身体中の力が抜けていく。
そして前触れなく首筋を舐め上げる。
「ひゃっ……」
つ~っと舐めて止まったところに甘噛みすると、
「いやっ」と言って首を振るもえもえ。
甘噛みしたあとは、ひたすら舐めまくる。
「んっ……いっや……んっ」
「首筋も感じるの?」
「はぁ……はぁ……うん……」
だいぶ息が上がっている。
首筋を執拗に攻める俊介。
「あぁ……」
唇から甘い吐息が漏れる。
首筋を愛しながら俊介の手はもえもえの背中へと移る。
もえもえはそっと目を閉じ、俊介と同様に自身も俊介の背中に手を廻す。
もえもえの首筋や肩を愛撫しながら、俊介はさりげなく白いブラジャーの背中のホックを外した。
ストラップがパラリと落ち、贅肉のない美しい上半身と豊かな胸が俊介を迎えた。
俊介の愛撫は淀みなく続く。
もえもえは丹念に愛撫を繰り返す俊介の熱心さにはとても満足している。
ときには焦らされ過ぎて挿入をせがむこともある。
愛撫だけで早々とイッてしまったこともある。
俊介の唇と指は早くももえもえのふくよかな胸に達する。
乳房への愛撫は変化に富んでいた。
撫でる、揉む、押す、摘まむ、舐める、噛む、含む……
そんな動作を繰り返されているうちに、もえもえは切ない声を漏らし始めていた。
「あっ、あっ、あっ、ダメ……あぁ、そこ、感じるぅ……ああっ……」
大きな手で乳房を包んで強弱をつけながら全体を愛撫し、もう片方の胸には俊介の舌が這う。
濃厚で丁寧な愛撫に、ショーツの中が早くも潤っていくのをもえもえは感じた。
「んん……あぁ……」
瞳を閉じて俊介の愛撫に身をゆだねながら、怒涛のように押し寄せてくる歓喜の嵐をかみしめていた。
ときおり唇から熱い吐息がこぼれる。
愛撫は乳房だけにとどまらず、くすぐったさの伴う脇腹を愛し、背中や腕、それに指にまでいたった。
そんなこまやかな愛撫をほどこされ、花芯はさらに潤いを増していた。
もえもえはそっと手を伸ばし俊介の股間を確かめる。
そこにはすでに熱して硬くなった俊介のものがあった。
ボクサーパンツの上からそれを握ってみる。
そして慈しむように撫でてみた。
「もえもえ、まだダメだよ。君が感じることが先なんだから」
「だってぇ……」