AVこわい ~恐怖の体験談~

ケータロー作

今から18年前、1994年の夏の話です。
当時私は東京に出てきたばかりで、裏ビデオにハマってました。
その日も店員に薦められた裏ビデオを買い、
自宅に帰ってさっそく見始めました。
それは主観視点で作られたビデオで、自分の好きなタイプのAVです。
主観視点とは要するに、男が自分で片手にビデオを持って性行為をしながら撮影する
いわゆる「ハメ撮りビデオ」です。
自分自身が男優になったかのような疑似体験ができるので気に入ってました。
裏ビデオにしては比較的画質も良く、出ている女の子は美人で巨美乳・スタイル抜群、
素人なのか恥ずかしさやためらいがあってそれがまた興奮しました。
女が裸になって、マ○コをパックリ開き(もちろん無修正)、それをカメラがじっくりと撮影し、
手コキ・パイズリ・フェラ・手マン・そして本番のハメ撮りと、
性行為のオンパレードで最後は顔射。そこでビデオは終わってます。
最初から最後まで男の主観視点で撮影されていて、
男の方もなれているのか、最後まで片手で起用に撮影してました。

私にとっては完璧と言っていいほどの出来で、お気に入りの一本になりました。
毎日最低でも一回はそのビデオを見ながらオナニーしました。
若かったのでそりゃもうサルみたいにw
そうこうしてる内に確か10日以上が過ぎたと思います。
私はいつものようにそのビデオでオナニーをすませると、
心地よい気分になり、ビデオつけっぱなしでそのまま目をつむってしばらく余韻に浸ってました。
画面は「ザーッ」という砂嵐になってました。
時間にして5分ちょっとくらいだったと思います。
そろそろパンツを穿こうかなと起き上がったとき、
それまで砂嵐だった画面にいきなり女の顔が映し出され、思わずビクッとなりました。


その女は目を真っ赤に泣きはらしており、グスングスンと鼻を鳴らしています。
どうも自分で自分を撮っているようでした。
なんだ?と思ってよく見ると、その女はこの裏ビデオに出ていたあの女の人です。
カメラを確認しているようで、「写ってるの?」とか涙声でつぶやいています。
そして、顔を写したまま、やはり涙声でこんなことを言い始めました。
「あの、映ってますか?これ見てる方いますか?これは裏ビデオになるはずです。
もしうまくこれをあなたが見る事が出来たら、お願いします。警察に行ってください。
私は○○県○○市に住む△△といいます。自宅の電話番号は×××-××××です。
○○市にある●●という闇金にお金を借りて、返せずにいたら、
やくざに拉致されて監禁されました。ここがどこかはわかりません。
ビデオ撮影だけじゃなく、ここでもう何人もの男の相手をさせられました。
言う事を聞かなければ電流を流されます。そしていずれ殺されると思います。もう限界です。
お願いします。お願いします。頼むからこれを見たなら警察に行ってください。助けて下さい。
もう一度言います。私は○○県○○市に住む△△といいます。●●という闇金にお金を借りました」

いきなりのことに自分はそれを呆然と見ていました。
女は泣きながらですが、それでも比較的落ち着いてそう言ってました。
二度しか見なかったので、詳細は違うかもしれません。
でもあまりにインパクトがあったので、確かそんな内容だったと記憶しています。
しかし、最後だけはいまでもハッキリと覚えています。
「お願いだから助けて!もうダメ!もうイヤァー!」
と女が狂ったような悲鳴を上げ、そこでビデオはまた終わったのです。
あまりの怖さに長い間動けず呆然としていると、テープ自体が終わったらしく、
ビデオ再生そのものが終わりました。
そこで我に帰り、怖かったけどもう一度巻き戻して再生して二度目を見ました。
どう見てもふざけてるように見えません。
少し迷いましたが、そのビデオを持って慌てて警察に行きました。
あったことを全て話し、そのビデオも渡しました。
警察は最初いぶかしげにしてましたが、ビデオを確認すると
これはただ事でないと認識したらしく、事件として捜査を始めたようです。
そして数日後、あの女性を無事保護したという連絡がありました。
心身共かなり衰弱していたけど意識もあって命に別状はないという話で
とりあえずホッとしました。

そして後々になってこれは以下のような数々の幸運が重なって女性を救出できたことがわかりました。
・ビデオが編集作業などをまったく必要としないタイプのものであったこと。
(主観視点の手持ちカメラ方式で最初から最後まで撮りっぱなしの長回しです)
・それ故、さほどしっかり撮影した内容を確認せずダビングしたこと。
(少なくとも撮影が終わってる箇所からテープの残りを最後まで確認する必要などない)
・裏ビデオはダビングされたテープからまたダビングする粗悪品が多い中、
 このビデオは全てマスターテープからダビングされてたこと(その為画質がよかった)
・撮影した人間が女性がいた部屋にビデオカメラを忘れ、女性がとっさに気転を利かせたこと。
・普通はダビングする時は本編が終わればその時点でさっさと停止するのだが、
 これをダビングしてた下っ端のヤクザ(?)がうっかり居眠りをしてしまい、
 テープが全て終わるまでダビングしてしまったこと。
 さらにそれを確認せずにただ巻き戻しだけして製品にしたこと。
・そして何の因果か知らないがそれを買ったのが自分で、たまたま最後まで見た事。

女性が助かったのはよかったですが、自分はそれがトラウマになって、
「AV恐怖症」になりました。大好きだった裏ビデオはもちろん、普通のAVも怖くなりました。
特にあの「ザーッ」という砂嵐画面はビデオにしろテレビにしろ怖くて仕方ありません。
最近はDVDやデジタル放送になって砂嵐も少なくなったのでホッとしてます。
しかし、一番悲劇だったのはそれがきっかけでインポになったことです・・・




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