5.ファーストキスと幸せなロストヴァージン

 小池さんの告白で付き合い始めた僕たちだけど、絶対誰にも知られるわけにはいかない。告白で感極まりしばらく泣いていた彼女は、泣きやむと涙を拭いてすぐに、決まりを作りましょうと僕に持ちかけた。どうやら、告白する前からOKされた場合に備えて考えていたらしい。おっとりした外見に似ず、彼女はしっかり屋さんなのだった。ちなみに、坂東の件があって以来、内側からの施錠も欠かさず行っている。

「万が一に備えて、お付き合いはこの個人指導の時だけにしましょう」
「島田は狭い所だからなあ」
「私が大学に合格するまで、デートなんてお預けですからね」

 確かにこの島田で、学外で用もなく女子生徒と会っていたら、すぐに噂が広まってしまうだろう。 さらに今、日本全国の公立学校で、教員と生徒がケイタイやスマホで連絡するのは御法度だ。互いの家人を考えると家電もはばかられ、結局お墨付きをもらった、部活の後の受験個人指導が唯一「お付き合い」の可能な時間になるわけだ。

「そういうわけですから、先生、ご指導よろしくお願いします」

 こうして僕達の許されない禁断のお付き合いが始まった。形としては部活動の一環として、百人一首の解釈をしてあげて、小池さんがAO入試でプレゼンをする準備を手伝ってるだけだ。だから誰に見られても問題のない受験指導に過ぎないーそれが建前だったけど、何しろ相思相愛の仲なのだ。人が見たら、恥ずかしくなるくらいベタベタの個人指導になってたと思う。

 まず僕が資格まで持ってる詠み手としての技量を発揮して、朗々と歌を詠みあげる。それをウットリと聞き惚れている小池さんに、その歌の一般的な解釈を施してから、彼女の意見も聞いて話し合う。そもそも百人一首は、多くが男女の気持ちを歌った恋歌である。当然まるで互いの恋愛感を確かめるような雑談に転じてしまい、彼女との仲はどんどん親密度を増していった。

「私が大学に行って下宿を始めたら、先生お休みの日に会いに来てくださいね」
「あ、ああ、もちろん」
「私、行きたい所とかリストアップして、デートの予定決めときますから。先生、苦手でしょ、そういうの。彼女作った事、ないんですよね?」

 小池さんは結構失礼だったけど、僕は無言で苦笑いし、彼女の発言を肯定した。

ーー彼女がいないなんて、生徒に言ったことあったっけ? まあいいや、小池さん、嬉しそうだし。こんな風に、彼女に引っ張ってもらうのは、僕に合ってるよ・・・

 告白までの緊張がなくなった小池さんは、個人指導の合間に雑談しながら屈託のない笑顔を見せてくれ、そんな彼女の幸福そうな様子に僕も嬉しさを噛み締める。大学に合格したら本格的にデートを始めて関係を深め、卒業したら先生の家にお嫁に行きますーそんな近未来の予定まで楽しそうに語る小池さんに、そりゃ気が早いよと言いながら、僕は満更でなかった。

 入学してから皆勤の優等生小池さんと、毎日かるた部の部活後に行われる受験指導は、万が一にもバレないよう部室を厳重に内部から施錠した、2人だけの秘密の時間。そんな制限下で却って恋心は燃え上がり、小池さんが口にする「大学卒業後の結婚」も現実味を帯びて感じられるようになって来た。

 ところで自然に退部するかと思えた、2人の1年生部員は意外にも部活を継続し、週に1、2回のバイト日以外毎日部室に顔を出していた。僕はもちろん原則部活に付き合い、活動時間の5時に2人を見送ってから、小池さんの個人指導に精を出す毎日だった。すぐに部活に行けない事もあったが、個人指導だけは欠かさなかったのは当然だろう。それは僕が小池さんとお付き合いの出来る唯一の時間だったのだから。

 それはそろそろ板東の停学が明ける頃だった。少し遅れて部室に向かうと、正座して練習していた三浦さんが大きな声で僕を非難する。

「せんせー、遅刻ですう」
「先生、お仕事があったんですよね」

 すかさず小池さんがフォローしてくれたけど、一寸嫌なムードだった。無口な田中さんがムッツリ押し黙ったまま、抗議の目線で僕を見上げて来る。僕は慌てて、その場を繕おうとした。

「ごめん。一寸会議があって遅れました」

 ウソだったけど、お前らなんかもうどうでも良いと、本音を言えるわけがない。すると妙にわざとらしい口調で、三浦さんが立ち上がりながら言った。

「あ、今日バイト日変わっての、思い出しました。ホラ、葎も行くよ! お邪魔しましたあ」

 そそくさと通学カバンを取り、まるで逃げるように帰って行く2人。僕は呆気にとられて見送った後、一人残された小池さんに言う。

「やっぱりバレちゃってるのかな」
「しのぶれど、いろにいでにけり、わがこいは、ですからね」

 小池さんはまるで予期してたかのように、並べていた札をてきぱきと片付けると、いつもより早い時間だけど、内側から鍵を掛ける。

「あの子たち、変な場所でバイトをしてる、って噂を聞きました。商店街で見たって」
「商店街?」
「去年出来たんです、メイド喫茶って言うのが。先生は行った事ありますか?」
「いや、ないけど。それは確かに高校生にはふさわしくないね」

 不謹慎ながら少し想像してしまう。明るくてポッチャリした三浦さんは似合いそうだけど、無口で幼い外見の田中さんに勤まるとは思えない。でも一番ハマりそうなのは小池さんで……

「そう言えば、もうすぐ坂東君、帰って来るんですよね………せんせえ」

   ふと気付けば、立ったまま2人は見つめ合う格好になっていた。停学開けの板東を恐れて声を震わせる小池さんの唇を、「僕が守ってあげるよ」と言うつもりで優しく奪った。いきなりだったのにすんなり受け入れてくれた小池さんは、僕の背中に両手を回してしっかり抱き付いて来る。弾力ある胸の膨らみが密着し、柔らかい女の子の体の感触と、かすかに漂う汗の匂いに興奮してクラクラした僕は、思わず彼女を押し倒してしまっていた。あの憎むべき板東と同じ事をやってる、という嫌な気持ちが少しだけ脳裏をかすめたけど、小池さんは嫌がって悲鳴を上げたりしない。僕は実にマヌケな声を掛けた。

「シテもいいかい?」

 すると真っ赤になって恥ずかしがりながら、小池さんは小声だがハッキリ答えてくれたのだ。

「はい。痛くないように、お願いします」

   僕は少し落ち着いてから、焦っていた。何を隠そう、僕だって童貞でセックスの経験はないのである。不安そうな小池さんを見ていると胸が痛み、僕は勇気を出して正直に告白した。

「ごめんね。僕も初めてなんだ」
「本当ですか?……先生らしいです」
 
 緊張が解けて、クスッと笑った小池さん。笑顔にホッとした僕は、やっぱり止めようかと言うところだったんだけど、小池さんは前向きだった。

「初心者同士、協力してやりましょう……スカート、脱がせてくれませんか?」

 ヘタレな僕も、もう後戻りは出来ない。スカートをめくり上げると、小池さんがアシストしてくれたので、無事スカートを脱がせる事に成功。黒いハーフパンツに手を掛けると、小池さんが腰を浮かせて足首から抜き取った。

ーー花柄の下着か。上も脱がせるんだよな

 下半身が花柄のパンツだけになった小池さんが、自分でブラウスを脱ごうとするので、僕は慌てて脱がせてあげる。上下お揃いの花柄ブラジャーに包まれた乳房は意外に豊満で、感激した僕は武者震いしていた。すると小池さんが嬉しい事を口にする。

「先生は、私に脱がさせて下さい」

 小池さんは体を起こすと僕のズボンを脱がせ始め、僕も彼女の下着を脱がせていく。お互い全裸になると、改めて小池さんは胸と股間を手で隠しながら仰向けになった。

「手をどけてくれるかな」
「じゃあ、オチンチン握らせて下さい………これ、皮を剥くんですよね」
[コンドームを着けないと」
「私にやらせて下さい」

 小池さんの柔らかい両手の中で、僕は仮性包茎のペニスをたちまち硬直させ、身をかがめて彼女が手で隠していた大事な部分に見入っていた。ふと気付くと、外はもうすっかり日が暮れてるようで、煌々と室内を輝らしながらの行為になっている。僕は情けないけど、そんな事に気を回す余裕など全然なかったのだ。

 真っ暗な校内でこのプレハブ棟だけは遅くまで明かりを付けている。他の先生は皆、僕が小池さんに受験指導しているものだとばかり思ってる事だろう。チラリと頭に浮かんだそんな思いに、僕は凄まじい背徳感を覚えたが、却って興奮してますます歯止めが利かなくなるばかりであった。下手すると暴発して精子をぶちまけそうなチンポを、名残り惜しそうな小池さんの手から解放すると、僕は前戯に取り掛かる。

 豊かな乳房にむしゃぶり付き強く揉んでしまって、小池さんが顔をしかめた。いかん、もっと優しくしなくては。反省して極力ヤワヤワとゆっくり優しく揉み上げると、目に見えて乳首がツンと尖って来たので、指でコロコロ転がし、左右交互にチューッと吸い上げる。

「アッ」とかエッチな声を聞かせてくれた小池さんに手応えを感じた僕は、いよいよ股間に顔を埋めて舐め始める。アソコの入口をくつろげて、中まで舐め回すと小池さんが言う。

「先生!……キモチイイです」
「入れていいかい?」
「……はい」

 こうしてとうとう小池さんと交合を果たした僕は、あっと言う間に射精してしまう。すぐに引き抜いた僕は、小池さんが両手で目を覆い、ひどく恥ずかしがってるのに気付いた。

「終わったよ。僕はとても良かった」
「ごめんなさい! 私いっぱい血を出して恥ずかしいです。畳、汚れてませんか?」

 きっと痛かったに違いない。実際に畳に少し処女血が飛び散っていた。
「先生、どうもありがとうございました」
「それじゃ、夜道に気を付けて」

 受験指導の時と全く同じように、深々と頭を下げて帰って行く小池さんを見送った後、僕は濡れ雑巾で畳に残った血の痕跡を消そうと擦り続ける。僕は小池さんと言う素晴らしい女性に出会った幸福をしっかり噛み締めていた。



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作者二次元世界の調教師さんのブログ

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