第1話 捕らわれた捜査官


「う~~~ん・・・」

どのくらい気を失っていたのかわからなかったが、
私が意識を取り戻したとき、あたりは薄暗かった。
私は体を動かそうとしたが、しびれているためか
手も足も、まったく動かすことはできなかった。
けれども、その理由はすぐに理解できた。
私の身体は、壁に背中をぴったりくっつけられて、
両手は、真横に広げた形で固定されており、
足はまっすぐそろえた状態で、別々に拘束されていた。
固定しているのは、壁に取り付けられた革手錠だった。
服は着せられたままだったが、靴はなかった。
部屋は、そんなに広くないように感じられた。

やがて、暗闇に慣れた私は、驚くべき光景を眼にした。
私の正面5メートルほどのところで、同僚の美佳も
私とまったく同じ格好で拘束されていたのだ。
美佳は頭を垂れており、まだ気を失っているようだった。
美佳のさらさらの髪が、顔を隠すように垂れており、
その間から、目を閉じたままの美佳の顔が見える。
美佳の表情は、ゾクゾクするほど美しかった。
タイトスカートからすらりとした脚が伸びている。

「美佳さん、美佳さん」

私が呼びかけた。数回呼んでも返事はなかった。

「うううん・・・・」

何度目か呼びかけたとき、美佳が顔を上げた。

「美佳さん、俺だ。古田だ」

美佳も、すぐには自分の状況がわからないようだ。
身体を動かそうとしたが、動くことはできない。
次に、顔を左右に振って、あたりを見回している。
聡明な美佳は、やがて事態を理解したようだ。

「古田さん。私たち・・・」
「そう。どうやら俺たちは捕らえられたようだ」
「ここは地下室かしら?」
「おそらく、そんなところだろう・・・」


私は古田慎二、29歳。麻薬捜査官をしている。
同僚の野村美佳は26歳。
私も美佳も特殊な訓練を受けていた。
女性捜査官は少ないが、美佳は聡明で、
訓練の成績もよく、優秀な捜査官だった。
なによりも、その美貌は群を抜いており、
スタイルも抜群だった。気は強いが、
その美貌を鼻にかけることもなかった。


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郊外の古いプレハブの倉庫。
麻薬の密売が行なわれるとの情報を得ていた
私と美佳は、こっそりと侵入していた。
慎重に歩を進めていくと、ある部屋の中から、
誰かの話し声が聞こえてきた。
話の内容はわからないが、この部屋で取引が
行なわれているのは間違いないようだった。
私は美佳に目配せした。美佳がうなずく。

バタン!

私は、古びた木製のドアを思い切りよく開けた。
そして、同僚の美佳とともにピストルをかまえて、
密売現場を押さえるべく、部屋の中へ踏み込んだ。
そのとき・・・。

「あっ!!!」

とつぜん、目の前が真っ暗になると同時に、
空中を飛び降りるような感覚になった。
体に激痛が走り、意識が遠のいていった・・・。


気がつくと、このような状況だった。



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