<第5話:二度目の悪戯>

GWに突入した1994年4月30日。

「GT開幕戦のチケットあるから一緒に行こうぜ。お前のお気に入り、水沢彩もいるからさ。今年2年目で人気急上昇。でも、近くで見れる場所、俺知ってるからさ。」

そんな純也の言葉に連れられて、太郎は富士スピードウェイに来ていた。
半年前のモーターショーが初めてなら、モータースポーツ観戦も初めての太郎。と言っても、目当ては水沢彩であったのだが。

「ちょっと出ようぜ。」

暫くレース観戦している最中、そんなセリフと共に純也が太郎を連れて歩き出した。
一体どこへ行くのか?そう思いながらも太郎は純也に付いて行った。そして暫く歩いた後、、、

「えっと。。。この時間だと多分この辺りに。。。あ、いたいた!ラッキー!タイミング良く誰もいないぜ。」

そう言って純也が視線を送る先、そこには黄色いコスチュームを纏った1人の女性がイスに座っていた。
水沢彩?休憩中?というか加藤先輩って何でこんな詳しいんだろう?そう思いながら、太郎は純也の後を追いかけた。

「すみませ~ん!」

純也の呼び声に気付いて彩が振り向いた。太郎には、彼女の表情が一瞬ハッと驚いたように見えた。半年前のことを覚えているのだろうか?

「あ、貴方達、、、モーターショーの時の。。。」

彩が純也の顔を見ながら言い淀んだ。やっぱり半年前のことを覚えている。

「あ、はい。あの時はビックリしました。今日は、RQとして活躍する彩さんの姿を見たいと思って千葉から追っかけて来ちゃいました。ちょっとだけお願いしても良いですか?」

言いながら純也はカメラを胸の高さに掲げた。

「うん。良いですよ。」

彩は快諾して純也の前に立ち上がった。
やっぱり純也は慣れている。そう思いながら太郎は、ポーズをとる彩と写真を撮る純也を交互に見ていた。
が、二人を見比べているうち、心の内の悪魔が動き出したのを感じた。半年前と同じように水沢彩に悪戯をしたいという囁きが。
そんな衝動を抑えきれない太郎は半年前同様に時間を止めた。周囲の物音、目の前で動く二人、全てが止まった。

能力の発動を確認した太郎は、純也が構えるカメラの前でポージングする彩に歩み寄った。
半年前は憧れの先輩、及川祐佳に系統の近い綺麗なお姉さんとして惹かれた彩の姿であったが、今日は少し雰囲気が違う。

ストレートのロングヘアーをサラサラさせていた髪は、スプレーでバリっと固めてポニーテールに結び、前髪を真ん中から斜めに下している。
白を基調としてブルーをあしらっていた衣装は、黒い紐を首から下げて胸周りを覆う黄色い衣装を支え、ヘソとお腹は丸出し、腰から下に膝上30cmはあろうかという短い丈の黄色いミニスカートという装い。
膝から下は白のレッグカバーと白パンプスであったのが、10cmはあろうかという厚底に30cmくらいの太めのヒールが付いた黒いニーハイブーツ。
モーターショーの綺麗なお姉さんが一転、カッコいいRQのお姉さんというインパクトを太郎に強く与える装いであった。

そんな彩に近付いた太郎は先ず、バリっと決めた前髪に指を当て、そして後ろ髪、ポニーテールへとなぞっていった。見た目通りスプレーでバリっバリに固めている。
太郎の手は、そのまま前へ戻り今度は両手で顔を撫でていった。

濃いメイクで化粧の匂いがプンプンするのはあの時と同じ。
ただ、あの時はキラキラさせていた目元が一転、黒いアイシャドウで目元を強調し、鋭さを印象付けるようなアイメイクに仕上げられている。
とは言え、ニキビが普通にあるのは半年前と変わらない。厚塗りして隠しているから遠目には分かりにくいが、至近距離で観察して触ってみるとバレバレだ。
強烈にカッコいい印象を与える人気RQとは言え、こうやって作り込んで肌の粗さを一生懸命隠しているところが面白い。

やがて、太郎の目が下に向いた。胸だけを覆っている黄色いコスチュームを上から覗き込むと中が伺い知れる。
谷間を強調するように胸元を大きく開いて締め上げている黄色い衣装であるが、中の乳房を包み込み、乳首を守るようにベージュのパットが入っている。
カッコいい人気RQのお姉さんと雖も、中にこうやって隠しこんで作り上げねばならない。そんな姿を覗き込めてしまう自分の力に陶酔する太郎であった。

太郎は両手を下に移し、胸を包み込む衣装の中に指先を差し入れようとした。が、中々どうして入っていかない。ずれないようにキツく締めているのか、隙間が少ない。
とは言え、所詮は胸を覆う程度にしかないコスだ。時間が止まって動けない彩が相手なのだから、時間をかけてゆっくり作業が出来る。
一本、また一本と太郎の指が胸と衣装の隙間に入り込み、遂に生地を掴み取れるようになった。こうなればこっちのもの。
太郎は指先に力を込めて、彩の衣装をずり上げていった。少しずつ、少しずつ、光沢ある黄色い衣装はずり上がって胸の山を越えはじめ、徐々に乳房が、そして乳首が姿を現し、最後には皺になった衣装が乳房の上に乗っかるような状態となった。

太郎は露わになったピンクの乳首を指で弾き、そして乳房を撫でまわしながら観察した。
衣装でキツく締めてたから周囲に衣装の痕が付いてる。こんなんなっちゃってRQって仕事も大変だな。何か凄い面白い恰好になっちゃった。

そんな事を考えていた太郎はふと周囲を見回した。純也が言っていた通り、タイミング良く誰も視界に入らない。目の前の水沢彩と純也以外は。
こういう楽しみのきっかけを与えてくれた加藤先輩に少し恩返しがしたい。そう思った太郎は、悪戯を一旦中断して、純也の後ろ、元いた位置に戻った。



前頁/次頁















表紙

投稿官能小説(3)

トップページ
inserted by FC2 system