私は、風呂場で身体を洗っていた。鏡に映る姿は、やっぱり30が近い。
 身体がお湯を弾かなくなってきた。私はボディーソープをお腹に滑らせる。
 ヘアが泡立ち、モジャモジャになる。
 頭の中で、男たちの大きくて無骨な手がそこに行く感覚を思い浮かべた。
 どんな男の愛撫も、いつもそこに行き着く。
 大して感じないのに濡れている自分。
 触り方にデリカシーがなくて、ただ指を入れたがるだけ。
 いい訳がない。
 でも、冷静に(気持ちいいのよ、私は)と暗示を掛ける。反射的にあえぎ声が出せる。
 これもコミュニケーションなのだろうか。 
 男たちは、興奮した表情で出っ張りをこすりながら身体を一つにする。
 それがなければ何もできない生き物だ。

「よかっただろう」

 私は男の真似をして低い声で鏡に言った。

(いいわけないじゃない)

 といつも思うが、「ええ、恥ずかしいわ」という自分は役者になれるかも知れない。
 男の満足そうな顔を見ると、何かむなしさだけが残る。
 私はシャワーを手に取った。
 指でヘアをこすりながら勢いよく掛けた。
 さっと白い泡が流れていく。
 男の不愉快な思い出も流してしまう。

 私は浴槽にゆっくり入って、脚を伸ばした。
 2本の指で草むらを探った。
 入り口の小さな肉片に指が触れる。
 この方が自分のペースで落ち着く。
 決まって、まだ見ぬ素敵な彼との甘いキスを想像する。
 彼の指のつもりで自分の指で、優しく優しく自分の肉片をもてあそんだ。
 こんな風に触って欲しい。肉片が硬くなって、でも、そのうち形が分からなくなってしまう。
 愛の液がお湯の中で、もやもやとしている。
 身体中の快感が一点に集まってきた。
 でも、ここでせっかちにしてはだめ。
 時間を掛けて自分をもてあそぶのがいい。
 スローモーションのように、淡々とゆっくりと撫でている。足先が少し痺れてきた。
 いつものように階段を登り始めた。

(こんな快感を味あわせてくれる人が現れるかしら?)
(男にあれがくっついている限り、無理な話なのかしら?)

(いきそう!)

 私は脚を伸ばして、迫り来るエクスタシーの波を予測した。
























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