官能小説『隣人 改』
しょうた&リレー小説参加者の皆様

※第1話~第2話はしょうたさんの直筆により、
第3話以降はリレー小説の皆様の合作によります
編集はしょうたさんです



第21話

「久美さんから、聞きました。鍵を落とされたようで……」
「え、えぇ……」
「それで、ソファの下を見てたんですけど……」
「あっ、すみません。僕の不注意のために、あなたにまでご迷惑をおかけしてしまって」
「いえ、いえ、困った時はお互い様ですわ」
 みどりは笑顔で答え、ソファの下を覗き込んだ。
「あぁ、奥さん。僕が見ますから……」
 俺は小ぶりなお尻を突き出している若妻の傍にいき、ラグマットに頬をあててソファの下を覗き込んだ。
 キーケースがある可能性の高いのは寝室だと思っているので無駄とは知っているが、あえて、ソファと床の隙間に手を突っ込み、左右に動かし、真剣に探しているふりをする。
「う~ん、やっぱり見あたらないなぁ……」
 と、白々しく呟きながら、キーケースが見つかる可能性の低いLDKを探し続けた。

「吉川さん?」
「はい? なんでしょう」
「この部屋にはないみたいですね……」
「そ、そうですねぇ。しかし、いったいどこに落したんだろう? まいったなぁ……」
「あのぉ、こんな時に、つかぬことをお聞きしますけど……」
「はい?」
「奥様、ご実家に行かれたんですよね」
「ええ、昨日から一週間ほど……」
「一週間、一人暮らしですかぁ。一人暮らしって何かと不便なものですよね」
「まぁ、まだはじまったばかりですから、不便さは感じませんけど。今は、不便というよりも久しぶりにゆったりとできてかえって気が楽ですよ」
「へぇ~、そうなんですかぁ。わたしなんか、ずっと一人暮らしのようなものだから、寂しくて……」
「えっ!? そうなんですか?」
「えぇ、主人は出張が多いので……」
「あぁ、そういえば、確か、ご主人、商社にお勤めだということでしたよね。だったら大変だ! あ、実は僕も独立する前は、商社マンでしてね。とはいえ、僕の勤めていたところは、小さな会社ですが……。それでも、週の半分は日本全国飛び回ってましたよ」
「ですよねぇ~。……あ、そうそう、わたしでよろしかったら、何かお手伝いいたしますから、遠慮なくいってくださいね」
「いえ、そんなに気を使ってもらわなくても……」
「いいんですよ。遠慮しなくても……奥様にはお世話になっていますし、それに今週は主人は出張で帰ってこないし、暇なんですから」
 今週は夫が帰ってこないなんて意味深なことを言う。もしかして誘っているのか? しかし、久美といい思いをしたばかりである、いくら今日はついているとはいえ、まさか、この後、みどりとまでセックスできるとは思えない。
「え、えぇ、何かあった時はよろしくお願いします……とはいえ、鍵が見当たらないことにはどうにもできません」
「あぁぁぁっ! そうでしたねぇ! ごめんなさい。こんな大変な時に違う話をしちゃって」
「いや、別にかまいませせんよ。最悪、鍵屋さんに頼みかすから」
「そ、そんな鍵を換えてしまうんですかぁ」
「見当たらなければ、それしか方法はありませんから……」
「うーん、でも吉川さんは家を出てからここしか入っていなんですよね?」
「えぇ、だから、あると思うんですが……」
「でも、ここにはないようですね。……あ、そうだ! ここ以外に他のお部屋にもはいりました?」
「え、えぇ……ちゃんと電気がつくかどうか確認するために……」
「寝室にも?」




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