官能小説『隣人 改』
しょうた&リレー小説参加者の皆様

※第1話~第2話はしょうたさんの直筆により、
第3話以降はリレー小説の皆様の合作によります
編集はしょうたさんです



第27話

 まさに間一髪であった。
「あれぇ、どうしたのぉ? 2人とも、顔が赤いよ。もしかしてぇ、私が居ない間に二人で変なことしてなかったでしょうね」
「あ、ばれちゃいましたぁ~、もぉ、久美さんたら、私たちの邪魔しないでくださいよぉ~。ねぇ、吉川さん」
 みどりは笑いながら俺に会話をふってきた。
「はは……」
 未だ官能の世界から脱出できていない俺は笑いながら久美の様子を伺った。
(や、やばい!)
 久美の表情が強張っている。
「あーっ、久美さん、もしかして嫉妬しています?」
 追い討ちをかけるみどりに久美の目が吊り上ってきた。
(何を言うんだ!)
「嫉妬? 馬鹿なことを言わないでよ」
 久美の声には明らかに怒りが混ざっている。
(やばい)
「ふふ、冗談ですよ。ただ、久美さんがいる時にエッチなお話していたでしょ? そのつづきで盛り上がっていただけですよ。それに久美さんだって頬が火照ってますよ」
 久美が自分の頬に両手をあてた。
「ほんとだ、熱くなっているわ……」
「でしょ、久美さんも吉川さんもわたしもみんな顔が真っ赤! だって、ワインを飲んだんですもの」
「はは、それもそうですね。お酒を飲んで赤くなるということは、健康である証拠ですからね」
 人妻たちの息も詰まりそうなやり取りに聞き耳を立てているのが精いっぱいだったが、みどりが冗談といってから、久美の表情が和らいだので、ようやく口を開くことができた。
「そうですね、健康な証拠ですよね。でも、わたし本当にびっくりしちゃったわ。もぉ、みぃちゃんたらぁ~」
「だってぇ~、久美さんが変なこと言うからぁ~」
 今にも泣きだしそうなみどりの頭を久美が子供をあやすようになでた。
 そして、一気に空気が和んだ俺達三人は声を出して笑った。

「あ、いけない。もぉ、こんな時間だ。もう少しで子供たちが帰ってきちゃうわ」
 楽しい時間はあっという間である。壁に掛けられた時計を見ると、後少しで三時になる。
「あぁ、すみません、長居しちゃって……」
「いいぇ、そんなことないですよ。わたしが悪いんですから……。例のサイトのつづきもありますし、また三人でお食事会しましょう」
「えぇ、わたしからもお願いします」
 久美につづいてみどりが言った。
「はは、僕も久しぶりに心底楽しかったです。それにお料理の方も最高でした。また、是非やりましょう。いや、今度は僕がお二人をお食事に招待しますよ」
「わーい」
「ふふ、楽しみにしていますわ」
 みどりが少女のような声をあげ、つづけて久美が嬉しそうな声を出した。
「それじゃ、僕はこの辺で……」
「あっ、私玄関まで見送るから、みぃちゃんはここで待っていてね」
「はーい」
 明るく返事をしたみどりに軽く会釈し、久美と共に玄関に向かった。

「御馳走さまでした」
「いいえ、こちらこそご迷惑をおかけしました」
 久美はそう言いながら、俺の手にメモ用紙を握らせてくとる、いきなり唇を重ねてきた。俺はそんな久美の行為に喜びを感じつつ、LDKに通じる擦りガラスのドアの透明な部分からみどりが覗いているのを見逃さなかった。




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