第5話   春彦さん……佳奈は……気持ち……いいです


「うくぅっ、い、いきなりなんて……」

「安心しろぉ。前戯くらいしてやる、ほらよぉ」

「あっあぁぁ、痛ッ! おっぱいに指を立てないでぇっ」

節くれだった男の指が乳房の中へと沈み込んでいく。
揉むというより力任せに掴まれた。
握りつぶすように握力を加えながら、ふたつの膨らみをちぎり解していく。

「ほらぁ、鳴いてみろぉ。気持ちいいとか感じるとかぁ、なにかあるだろう?」

「あ、あぐぅっ、痛いっ。ううぅっ……き、きもちいい……くぅッですぅっ」

わたしは男の期待に応えようと、心にもない言葉を叫んでいた。
蠢く指先から逃れようと、背中を座席シートに沈ませながら、涙目のまま口の端を緩めていた。

「そうかぁ、佳菜は気持ちいいんだねぇ。だったら春彦さんが抜けているだろう?」

それなのに、この男はノブくんの瞳をキツネ目に変えた。
吊り上げた目で、まだまだという感じで佳菜の心と身体を切り裂こうとする。

「ふぐぅぅぅっ、やめてぇッ……こわれるぅッ! ……き、きもちいいです……はぐぅっ、はるひこ……さん……」

おっぱいをいたぶる激痛に、ほっぺたまで緩めて微笑んでいた。
微笑んで涙をいっぱい溢れさせて、好きでもないのに、この人の名前を呼んだ。
心の中でノブくんって置き換える。
ノブくんの指だったら、我慢できるって自分を信じこませて。

「ふふっ、春彦さんかぁ。いいねぇ。では、こっちはどうかなぁ?」

ちゅくぅ、ちゅぷっちゅぷっ……

「ひぃ、ひゃあぁぁっ! そこはぁ、だめぇっ!」

そんな佳菜の心を見透かしたように、男が腰を動かした。
引き締まった筋肉を小刻みに運動させて、割れ目のお肉に硬いモノを擦り付けてきた。
座席シートいっぱいに開かされた佳菜の下半身。
その間に割り込んだノブくんの身体が、今にも挿入しそうな態勢をとっている。

「はあっ、あぁっ、い、いやぁ……ゆるしてぇ」

初めての感触に、佳菜の女の子が恐怖して強張った。
それに追い打ちを懸けるように、窓を埋め尽くす人魂の群れが揺れる。
ユラユラと漂って、その数が2倍にも3倍にも膨れ上がっていく。

「よかったなぁ佳菜。どう見積もっても百人くらいいそうだぜ。死人のギャラリーがなぁ」

「イヤイヤ、見ないでぇっ! はぅぅんんっ、みないでよぉっ!」

まるで佳菜の恐怖心がエネルギー源のように、ノブくんの身体は更に腰を揺すった。
硬くなった先端のヌルヌル液を、恥ずかしい処全体に万遍無く塗り付けてくる。
仕上げのように尖ったクリトリスもグリグリされた。

「んんんっくぅ、あっあぁ、はるひこさん感じるぅっ……お豆ぇっ、きついぃっっ……くぅん」

勝手にお腹の筋肉が痙攣してる。
ちょっと言葉は意識したけど、今度は自然に鳴かされちゃった。
だって、ノブくんのアレ、硬くて熱いだもん。
佳菜の大好きな、ノブくんのおち○○んなんだもん。
それが佳菜の感じる処を弄るんだもん。

「ふふっ佳菜。もっともっとぉ、甘い声をださせてやるからなぁ」

「あはぁ、くぅっ……乳首弾かないでぇっ。いやぁっ、クリばっかり刺激しないでぇっ! はうぅんんっっ」

無意識に揺れる背中。
ノブくんの身体を挟むようにして、無意識に揺れる下半身。

ノブくんの指に、佳菜の乳首を交互に抓られて。
爪先でもパチーンッってされて。
ノブくんの硬いおち○○んに、佳菜の感じるお豆をギューって押しつぶされて。

だんだんとじゃない。ゆっくりとじゃない。
あっという間に、本気で気持ちよくさせられちゃう。
青白いギャラリーさんだって、今では窓のお飾りみたいに見えちゃうもの。

「んんっ……はあぁぁっ……そんなの……だめぇ……」

これが抱かれるっていうことなの? 
これが男の人の愛し方なの?
わたしより上手だなんて。佳菜の指より感じちゃうなんて。

だって佳菜のアソコは、ホントに濡れちゃってるもん。
まだバージンなのに膣の中がキューってして、エッチなお汁が溢れてくるのがわかるもん。

じゅぷ、じゅぷ……じゅぷぅぅぅっ……

「あっ……ふぅ……感じるぅっ、はるひこさん、おっぱいが切ないのぉ。アソコがジンジンするのぉっ」

ノブくん。ノブくん。ノブくん。ノブくん。

くちびるが動くたびに、わたしは愛する人の呪文を唱えていた。
ノブくんの指におっぱいを突き出して……
ノブくんの腰に合わせて、佳菜も腰をクネクネさせて……
バージンなのに、イッちゃいそうで。
バージンなのに、はしたなく乱れそうで。
だから……叫んでみた。

「んんっ、はあうぅんん。おねがい……はるひこさん。い、挿れてぇっ……佳菜とセックスしてぇっ!」

早く終わらせてほしい心。
ノブくんとの初エッチを期待する心。
互いにすれ違うふたつの心が手を結び、佳奈に淫らな勇気をくれた。
そして、外で揺れる青白い光と素肌を照らす月の光が同色になって、男の愛撫が止まった。



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